新型コロナウイルス感染拡大の影響で、各所の合説や採用が中止になり、今年の就活戦線は大変な混乱となっています。
このままいくと、場合によっては22卒、さらにそれ以降の学生にも影響が出るかもしれません。
この現状は、しばしば就職氷河期に喩えられたりもしています。
そこで今回は、就職氷河期とはどんなものだったのか、今回のコロナの状況と似ているのか、対策はどうしたら良いか、などについてまとめました。
過去の事例から学び、現在に生かしていくことで、少しでも有利な戦いができるようにしておきましょう!
就職氷河期とは

就職氷河期とは、バブルが崩壊した後の1993年ごろから2005年ごろにかけての年代のことをさす、リクルート社の造語です。
日本は1986年から1991年にかけて一貫して好景気が続き、土地や不動産などの資産の価格が上昇し続けていました。
しかし、不動産の融資を制限する規制がかかったことなどをきっかけに、土地や不動産への投資が減って価格が下がり、所有者たちは土地や不動産を売り始めました。
これがさらなる土地や不動産の価格の下落を招き、負のスパイラルに陥ったのです。
いわゆる「バブルの崩壊」というものですね。
バブルが崩壊すると、企業も経営が厳しくなるので、リストラをしたり採用人数を減らしたりすることで、なんとかこのピンチを切り抜けなければいけません。
就活生側からすれば採用される人数が減るので、必然的に厳しい戦いを迫られるわけです。
こういうわけで、バブルが崩壊してから10数年の間、就活生にとって非常に大変な状況が続いたので、それを「就職氷河期」と呼んでいるのです。
就職氷河期に起きたこと

就職氷河期には、次のようなことが起こりました。
- 大卒求人倍率の低下
- 非正規雇用の増加
- 失業率の増加
それぞれの内容や原因について、ここから詳しくご説明します。
大卒求人倍率の低下
就職氷河期に起きたこと1つ目は、「大卒求人倍率の低下」です。
大卒求人倍率とは、大卒の就活生一人当たりに平均で何件の求人があるかを表した数です。
ですから、この値が大きければ大きいほど就活生にとっては有利な状況といえるわけですね。
厚生労働省が発表している大卒求人倍率の推移をグラフにまとめてみたので、見てみましょう。
2000年には0.99と1よりも小さい値になっていますね。
これはすなわち、正社員として雇用してもらった就職先の数の平均が1に満たない、ということです。
就職氷河期がどれだけ恐ろしいか、これだけでも十分わかってもらえると思います。
非正規雇用の増加
就職氷河期に起きたこと2つ目は、「非正規雇用の増加」です。
大卒の求人倍率が低下すると何が起こるでしょうか。
まず、内定がもらえない就活生が大量に出てくるので、彼らは非正規雇用の労働者として働きます。
いわゆるフリーターや派遣労働者と呼ばれる人たちです。
そして、こうした非正規雇用で働く人たちは、なかなか給料が上がらなかったり正社員になれなかったりするので、ずっと低賃金の非正規雇用で働き続けなければならなかったのです。
特に2000年なんかでは平均的な学生の内定獲得数が1に満たないわけですから、非常に多くの人がこのような状況に陥ってしまいました。
失業率の増加
就職氷河期に起きたこと3つ目は、「失業率の増加」です。
バブルの中では企業としては即戦力の人材を安く雇いたい、という気持ちが強くなりますから、非正規雇用を増やしたり、新卒採用を能力の高い人に絞ったりします。
さらに、正社員として雇用されていた人であっても給料が上がらなかったり、場合によっては解雇されたりしました。
厚生労働省が発表している完全失業率の推移をグラフにまとめてみたので、見てみましょう。
完全失業率とは、15歳以上の働く意思がある人のうち、職がなくて休職している人の割合のことです。
就職氷河期の終盤である2000年代前半には完全失業率が上昇していることが見てとれますね。
前述した大卒求人倍率の低下や非正規雇用の増加は、このように完全失業率の増加にもつながってくるのです。
就職氷河期はコロナの状況と似ている?

ここまで、就職氷河期がどんなもので、何が起きたかについて解説してきましたが、果たして今回のコロナの状況と似ているのでしょうか。
「マイナビ2021年卒企業新卒採用予定調査」のデータによれば、採用人数を「減らす」と答えた会社はわずか3.9%で、82.6%の企業は採用人数を「当初の予定通り」としています。
まだ企業が採用人数を絞っていく段階までは行っていないようですね。
しかし、日経平均株価は今回のコロナの影響で、年初には24,000円ほどだったのが一度は16,000円台まで下がりました。
さらに現在飲食業や観光業、交通インフラなどは軒並み非常に苦しい経営状況となっているため、資金繰りに追われる企業も多くあります。
ですから、22卒だけでなく23卒の就活生も大きな影響を受けるかもしれません。
コロナの収束がいつ頃になるかにかかっていると言えるでしょう。
就活生にできること

では、22卒、23卒の学生にできることは何でしょうか。
その1番の答えは、正しい情報を自分で集め続けることです。
この後社会がどのように動くかは、コロナがいつ収束するか次第ですから、誰にもわからないのが現状です。
情報を収集し、社会の動向を自分の目で観察し続けるしかありません。
苦しい状況でも前を向いて、自分ができることに集中して取り組んでいきましょう!
まとめ
今回の内容をまとめると、次のようになります。
- バブル崩壊後、就活生に訪れた厳しい時代を就職氷河期と呼ぶ
- 就職氷河期には求人倍率が低下し、非正規雇用や失業者が増えた
- 今できることは自分で情報を集めること
今回のコロナをきっかけに、社会は大きく変わり始めています。
この変化を自分のプラスにできるよう、できることに取り組んでおきましょう!